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「バーチャル空間上での商売は成り立つのか」──── バーチャル商人アキナが自身の経験を踏まえリアルに語る

昨今VtuberブームやVR機器の普及により、「バーチャル」というものが急速に発展してきたように感じられます。

『VRChat』や『cluster』などのVRSNSも登場し、「バーチャル空間で暮らす」ということが現実味を帯びてきました。「バーチャルマーケット」のような、バーチャル空間上での展示即売会も行われるようになり、今後もVR市場は盛り上がっていくことが予測されます。

映画「サマーウォーズ」のように、バーチャル空間上で買い物や行政の手続きなど、ほとんどのことができるようになる未来もそう遠くないかもしれません。

今回は、バーチャル空間上での商売の在り方とは何なのかをテーマに掲げ、バーチャル商人アキナさん(MerchantoAkina)に、インタビューを実施。実際にVtuberとして、バーチャル空間上で食品を販売しているアキナさんの視点を通じ、このテーマを紐解いていく。

食品販売だけじゃない! 商売や経営のことについての情報も発信

────「バーチャル商人」というワードを今回初めて聞いたのですが、具体的にはどんな活動をしているのですか?

アキナ:普段は地方の美味しい食品を販売している通販サイト「星路アキナ商店」を経営しています。他にはYoutubeやnote、Twitterで、商売や経営のことについて発信してます。バーチャル展示即売会「バーチャルマーケット4」では、実際にチーズケーキを買うことができる店を出店しまして、少しだけ話題になりました。

実をいうと、「バーチャル商人」をやっている方は他に3人ほどいまして、その中には自分でカードゲーム作って販売している方もいらっしゃいます。

────なぜこのような活動を始めたのか、きっかけをうかがえますか?

アキナ:地方の食品は百貨店に置かれがちなのですが、若い男の人はなかなか百貨店に行ってくれなくて。若年男性層の販路開拓をどうやってしたらいいか、悩んでいました。そこでバーチャルを通じて、若い男性の方にも地方の美味しいものを届けられたらいいなという思いで、この活動を始めました。

 本業がコンサルタントなので、最初は経営について話すキャラでいこうかなと思ったのですが、それだとお堅いイメージがあると思ったので、「商人」というキャラ付けにしました。

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────確かにコンサルタントというと、ちょっと真面目なイメージありますよね。

アキナ:そうなんですよ。あとネット上だと詳しい人が多いから、胡散臭いというイメージもたれがちですね。実際、コロナ関連のセーフティネットについても、デマ情報が飛び交っていたので、緊急でYoutubeに解説動画を投稿しました。一般の方からしたら区別がつかないと思うので、本当にふざけるなと思います(笑)。

あと私、中小企業診断士という国家資格を持っているのですが、なかなか知名度が無いみたいで。結構難易度が高い資格なんですけどね…。

────ちなみにVtuber活動をしていて、普段の生活に何か影響はありましたか?

アキナ:まずプライベートが大きく変わりましたね。もともと可愛いもの好きだということを抑えていたのですが、それが自分で可愛い恰好をしたりするようになって、私生活の充実ぶりが半端ないものになりました。それが仕事のパフォーマンスにも出ている気がします。

仕事面では、普通の名刺の裏にVtuber用の名刺を刷るようになりまして、相手方の雰囲気見ながら渡しています。東北だとVtuber自体知っている人が少ないので、その都度説明していますね。vearのようなその場で収録できるアプリを見せると、みんな驚きます(笑)。うちの場合は他のVtuberと違って、「いくら売れたの?」というお金の話に持っていけるので、乗ってくれる社長さんも少なくないです。

────失礼なことをうかがいますが、売り上げのほうはどうなんですか?

アキナ:Vtuber自体は昨年の6月に始めたのですが、通販のほうは10月からなので、ほぼ半期で16万3000円です。正直バーチャル要素がプラスに働いているかはまだわかりませんが、目指している客層に届いているというのは嬉しいですね。

次は50万、100万と狙っていきたいです。当面の間はチャンネル登録者数より、こっちを優先したいですね。こういう通販は品目数が多くなると売り上げも上がっていくので、現実的な目標だと思っています。

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バーチャル空間だからこそ簡単にできる

──── 4月に行われた「バーチャルマーケット4」でチーズケーキを販売したとのことでしたが、5でも何か出店するつもりはありますか?

アキナ:もちろん出しますよ。前回の経験を踏まえて、今回実装したいと思っているのがお土産です。バーチャルの方、特にVRで入っている人は会場を歩き回るじゃないですか。そうするとみんな、お腹が空くんですよね。

3の時に自分で会場を歩き回って感じたのが、「一通り歩き回ったあとのカツカレーフォース*1の出し物がめちゃくちゃ美味しそう!」ということです。そして同時に「どうしてこの美味しそうなカツカレーは注文できないのか…」と思いました。そこで規約を確認したら、どこにも食べ物を売ってはいけないとは書いてなかったので、自分で食品を販売することにしました。

前回は糖尿病で入院してしまい、対面販売が少ししかできなかったので、今回は積極的にやっていきたいですね。

────ズバリ、バーチャル空間上での”商売”というものにどのような可能性を感じますか?

アキナ:今までネット販売というと、安さや速さといったところに、みんな注目していました。そのため中小企業には、ネット販売は縁が薄かったです。だが私たちがこうしてバーチャル空間上でお話しているように、有人での対面販売というのはバーチャルだと簡単にすることができます。今私たちは一対一で話していますが、ここに数十人呼べば商売として成り立つわけですよ。VRChatでは数十人が限界ですが、他のプラットフォームならば、数百人も可能なわけです。この点は今後広めていきたいですね。

あと私、実際に地元の相談会のプロデューサーをしているのですが、それもバーチャル空間上でできないかなと思っています。バイヤーも暇ではないので、動く必要がないというのはいいですね。商品も写真で見せればいいので。

────今後やりたいことはありますか?

アキナ:今は宮城県のものを中心に販売しているのですが、やはり全国にも美味しいものはあるので、今後全国展開をしたいですね。それこそご当地Vtuberがたくさんいるのだから、彼らに紹介してもらって、その商品をうちで売るということができれば、あっという間に広がると思います。

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アキナさんによると、バーチャル空間上での対面販売は移動の必要がないため負担が少なく、商売としても十分成り立つとのこと。「バーチャルマーケット5」にも出店するとのことなので、ぜひチェックしてみてください。

今はまだ馴染みが薄いVRも、小型化と低価格化が進み、徐々にではありますが一般にも普及し始めてきています。今後VRの普及により、アキナさんのようなバーチャル商人はますます活躍するようになるでしょう。これからが楽しみですね。

*1:VRChatで活動しているカツカレー愛好会のようなもの